2020-03-17 19:40:00最終更新日:2022-03-04 19:04:27
今回の"HAND DYED"シリーズは
草木
泥
藍
墨
それぞれ異なる天然染料で
表現しています。
約150年程前までは、
天然染料で手作業で染めが主流でした。
その後、化学染料が広まり、
天然染料・手染めは徐々に衰退していき、
現在は着物や反物など
一部の高級品のみにしか使われず、
貴重な染色方法となっていきました。
安価で便利な化学染料に比べ、
今となっては貴重となってしまった
藍・墨・植物など、、
天然染料ならではの地味なようで
深みのある墨色や鮮やかで彩度ある藍色。
2020 S/S "HAND DYED"シリーズ
"80’S POWER LOOM LINEN SMALL QUILT"
"ORGANIC PATCHWORK"
"80’S ORGANIC STRIPE"
この3素材は化学染料を一切使わず、
天然染料を100%使用し、
昔ならではの手作業で染色をしています。
一点一点異なる表情の魅力を持つアイテムは
すべてが一点もの。
天然染料の一番の魅力は、
化学染料で表現される
ハッキリとした色にはない、
自然でやわらかな色味。
独特な色の表情を持つ天然染料は
色に奥行が感じられ、
一言では表現のしずらい
独特のものがあります。
さらに、
職人により一枚づつ手作業で染める事で、
自然に入るシワやムラが
より味わい深い色にしていきます。
美しさだけを追求したものには
表現のできない色は、
一枚の洋服の中で、
さまざまな色を感じることができます。
天然染料と化学染料の違いは大きく2つ。
天然染料は2種類以上の染料や一色でも、
色を重ねて染める事ができる所にあります。
1つの色を表現する為、
複数の染料の掛け合わせ、
同じ色でも何度も重ねて色を出していきます。
そのため、とても時間と手間は掛かりますが、
天然染料ならではの独特色になります。
もうひとつは、
草木染めは媒染と呼ばれる処理を行い、
天然の化学反応を起こし
色を出すことです。
LT.BROWN ~渋木染め×鉄媒染~
渋木と呼ばれる
植物由来の染料による草木染めを行い、
その後、
媒染をして仕上げています。
渋木は東南アジア原産の
ヤマモモの木が原料とし、
江戸時代から使われている染料です。
昔は漁師の網を染めるのに良く使われており、
塩水に耐えるという特徴があります。
単体ではベージュに近い色ですが、
鉄媒染を行うことで
少しくすみのある茶系の色に仕上げています。
BLACK~藍染×泥染~
藍染の後に泥染を重ねています。
藍はキアイと呼ばれるマメ科、
コマツナギ属の植物。
インドの伝統的な製法の沈殿法で
何カ月も掛けて作られる
天然インディゴを使っています。
インド産のインディゴは国産に比べ、
不純物が少なく
キレイな藍色になりやすい特徴があります。
重ねる泥染めは、泥自体を染料とせず、
土に含まれる鉄分を利用して染めます。
その為、カテキューと呼ばれる
ミモザ・アカシアの葉などから作られる染料で
草木染を行います。
その後、
泥をかけ媒染し、
化学反応が起きることで色が出ます。
媒染剤として使う泥は
工場のある地域の土を使っています。
何度も染めを繰り返し手間も時間も掛かる染は
1日掛けても数枚しか仕上げられません。
ICE GREY~薄墨染め~
墨染は染料ではなく、顔料を使い染めを行います。
ピグメントダイと呼ばれる、顔料染め。
墨は松やナタネ油などを不完全燃焼させた
すすを原料としており、
今回は書道などにも使われる、
墨汁を染料として使用しています。
他の染料と異なり粒子が粗くて大きい為、
独特なムラと風合いが出てくるのが特徴で、
あたりのような独特な表情が魅力。
GREY~墨染め~
ICE GREYと同じく、墨染で仕上げています。
墨染は濃度によって色を調整する為、
GREYはICE GREYの約10倍濃度で
より濃い色に持ち上げています。
草木染や藍染に比べてあたりが強くでる特徴があり、
仕上がりをコントロールするには
熟練の技術が必要ですが、
他にはない墨染ならではのヴィンテージ感が魅力です。
『 一枚一枚を手で染めていくのは大変な作業です。
でも、手間はかかっても、
柄や濃淡を絶妙に仕上げていくには
手染めでないとダメなんです。 』
『 自然から色をいただいている 』
という気持ちを大切にして、丁寧に染めています。
~工場の職人より~